【短編小説】口癖 〜針〜
鋭い音が耳に刺さる。
皆それぞれ練習のためにひたすら掻き鳴らし、思い思いの音を出すべく鳴らす。
私はそれをただ眺めるだけ。
頭はズキズキと痛み、精神的にもつらくなってきた。
「先に帰るね。」
「あ、うん。バイバイ。」
なかなか履けない靴と睨め合いながらも前へ足を出す。
昼ごはんの残りのおにぎりを頬張る。
お腹がすいてるからか、お腹にはあまり貯まらない。
「はぁ……」
朝から泣いていたから疲れが溜まっている。
今にも倒れそうになりながら鉛の足を進めた。